散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

黒い罠

天才の所業。退屈なショットがほぼ皆無。冒頭の長回しからずっと、フィルムノワールの深い陰影に映画的快楽を持続する。シリアスかつユーモラスに、そして哀愁漂う娯楽映画としてその偉業。

この美的感覚に類例を挙げるならば、『第三の男』。そういえばあちらにも、役者としても怪物的なウェルズの影。


☆3.8