散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

JOLT ジョルト

我々は普段、どれほどの衝動を押さえつけて、怒るべき怒りも押し殺して、“普通”の世界を維持しているのか。そして心を病んでいくのか。狂っているのは世界か自分か、世界も自分も狂っていくのか──。しかしそうした命題を徐々に逸れ、空虚なアクションとロマンスに矮小化していく世界観の浅さ。例えばミドルエイジクライシスに陥った正義漢の暴走、片や女性の主人公像としては抑圧、差別的な社会へのリベンジムービーに類型化を見る。暴力の発露に社会の歪みを論じる時流にあっては、さすがに時代錯誤な凡作と言わざるを得ない。ケイト・ベッキンセイルの奮闘も虚しく。


☆3.1