散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

悲しみの受容における、破壊と再生というテーマに括ってしまえばよくある話のようで、しかし冷静な狂気を演じさせれば今や右に出る者はいないジェイク・ギレンホールの怪演と、導かれるように常軌を逸した展開が他のどの映画とも違うカタルシスを呼ぶ。すなわちは救済。愛の喪失は愛の創出によってのみ埋め合わされうるというただ一つの真実へと辿り着く。

失ってから気づく愛のなんと、なんとも言い尽くせぬ狂おしい慈しみ。幸せな悲しみ、その永遠よ。だから「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」のか──サンバイザーに残された愛の一編が、壊れた心を再び動かす。

後悔なき人生は虚しい故。
愛はいつも悲しいが、しかし愛なき人生はもっと悲しい。
そう涙をこらえて踊る夜に、ロックンロールはけたたましく寄り添う。


☆4.4