散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

透明人間

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恐怖とは本質的に見えないものであり、映画とは本質的に見るべきものであって、見えないものを映し出すまさしく恐怖映画的なるものの新たなるクラシックが、再び「透明人間」の名を冠し現代に甦る。

エリザベス・モスの主演に意味するところ現代的なフェミニズムの視点から、一方的な窃視の暴力性にわたるより普遍的なテーマをもった社会派の一面。その時々の、時代の闇を映し返すホラー映画の機能として極めて理性的に有効なものであり、それゆえに容赦なく冷徹に突き刺さるまなざし。

誰も、愛と支配の不可分性からは逃れられない。無自覚でいられるはずもあるまい。その恐ろしさに、哀しさよ。


☆3.9