ディズニープリンセスを再定義する一方で、伝統的な愛のかたちにも回帰していった前作。そのハッピーエンドを語り直すかのように、ともすればリベラルエリート的な正しさに陥りかねないテーマをつぶさに、より進歩的な共生のリアルを訴えかける続編。
多様性という価値観を個人的な魂の解放から、社会が共有すべき理念へと押し広げる。それが絵空事に次ぐ綺麗事に過ぎないとしても、今「できること」をと謳うように、新たなるディズニークラシックの使命を果たすべく、語るべくは政治性をも語る。
おとぎ話のその先へ──「未知の旅へ」踏み出そうと変貌を遂げる、ディズニーミュージカルの懐の深さに嘆声をあげるばかりの秀作。2作合わせてもはや非の打ち所はなく、10年代最大のエポックを改めて決定付ける。
☆3.9