散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アトミック・ブロンド

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冒頭から「ブルーマンデー」のビートに心を掴まれ、クールな青の照明に鍛え上げられた背筋が露わに浮かび上がるバックショットでもうヤラれる。
文字通り、背中で語る術を体得するシャーリーズ・セロン。彼女に体現される新たな女性像は、昨今のハリウッドに見られるフェミニズムの流れにあって、別格の説得力と美しさを併せ持つ。

節操なく80'sヒットナンバーをBGMに。ブルーを基調にピンク、イエロー、グリーン等のネオンカラー、そして血の赤に染められるブロンドが、ポップとバイオレンスの“二重”の快楽を誘う。
ついには『トゥモロー・ワールド』ばりの長回しアクションにパンチドランクを免れない。

歴代最強。ジェンダーの“壁”を破壊せんとするヒロイン像の一つの到達点か。フュリオサ(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』)に続く、映画史のエポックともなり得る最重要キャラクターは、セックスシンボル、その意味をも再定義し兼ねない存在感で大立ち回りを演じる。

キューティブロンドを更新する、アトミックブロンドに平伏す野郎どもの狼狽と歓喜が聞こえるようだ。


☆3.8