彼女の置かれた境遇にはまるで似つかわしくないドリーミーな光彩で語られるのは、どうにも救いようのない不幸に見舞われた人間が何とかすがっていられる妄想と、地獄のような現実とが混濁した情景だろうか。
暗闇にこそ差し込まれる光に人は目を奪われる。一方で、その影に追いやられる暗闇が新たに生まれる。
“愛”の愚かさに引き起こされる悲しみの連鎖を止める術など、人はまだ持ち得ない。
だからせめて、
“すべてのいとしい女の子たちへ”
愛の物語をしたためる彼女たちへと。
優しさや喜びや、誰かを思いやる心の温もりを語り継ぐ。
それは善きクリスマス映画に伝わる精神でもある。
☆4.2
(2018/11/11)