散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

夢と狂気の王国

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映画的情緒が淀みなく流れるように、前後のフッテージが螺旋的に繋がって響き合う構成と編集の巧さに舌を巻く。

数あるスタジオジブリのメイキング作品に嘗てなかった、記録映像の枠をはみ出してドラマを紡ぎ出してしまう初めてのドキュメンタリー“映画”。あの宮崎駿を素材にして。もしかしたら事実と創作との境界を跨ぎながら、現実に色を塗っていく。被写体を通して、その先に何かを見出そうとする“意志の表現”としての、映画作家砂田麻美、マミちゃんの眼差しの記録である。

それは図らずも、もしや運命的な導きによって、映画監督・宮崎駿の“エンディングノート”を仕立ててしまったんじゃないかな。


☆4.2

(2018/11/01)