散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

幸せになるための恋のレシピ

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抜き差しならない生活に、それでも出会す人と人との間に優しさは零れる。つかの間のオアシス、優しさに包まれる街角を切り取る映画を見ている。夕暮れの、静かな木洩れ陽の中で。愛しい人を抱きしめたくなる。抱きしめると感じられる温もりに触れる。

“幸せになるための……”というと、オールタイムベストの一本、『幸せになるためのイタリア語講座』を思い出す。あれも、さびしんぼう愛おしき隣人の群像。ありふれた愛の肖像だった。

登場人物たちの、ハッピーエンドのその後を覗き込もうとするのは野暮だ。幸せな嘘が幸せなうちに幕を下ろすフィクションが、少しずつ、ささやくように日常に救いの言葉を飾り付ける。


☆3.9

(2018/06/03)