散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

世界一キライなあなたに

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死にたいと願うひとを、死なせたくないひとがいる。
もうここで完結しようとする物語を、無理にでも続けさせようとするひとがいる。
本当に自分勝手なのはどっちなんだろうか。
だれが彼の苦しみを理解できる。希望がないのは死だ。だれが「死を生き続けろ」などと言うことができる。

それが、愛してるという言葉である。
愛の歓びと裏腹にある残酷である。

「思い出を上書きしたくないんだ」
彼は過去に生きている。今は過去のためにある。
過去は今のためにあって、未来に生きていく彼女とは進む方角が違っている。
それは、どれだけ愛を交わそうと合流することのない軌跡。きっと変わらない決意。だってそれが、鍵のない檻に閉じこめられた彼に与えられた、自由への最後の選択肢だから。

愛でひとは変えられない。変えようとすることが間違っているのかもしれない。
だけど、それでもと。愛を信じるものたちが、純愛という究極的な自愛に向き合った末に結ばれる他愛のカタチ。

キミはキミらしく。
これは正真正銘のラブストーリー。


☆4.3

(2018/3/20)