散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ファミリーズ・シークレット 秘密を抱えた家族

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ありたい姿、あるべき姿と実際に今ある姿とのギャップに秘密は生まれる。
秘密を隠すためのウソは、いつか真実が露呈するときに愛に帰結するものであるのなら、それは許されるべきウソなんだろう。
ウソは方便。目的は人を出し抜くことじゃなくて、大切なものを守るために真実をひとまず先送ること。

それでも、どうしようもなく現実が諍いをもたらしてしまうとき、万能薬はコメディの力だ。
修羅場が起きればスラップスティック、気まずい空気ならシュールな笑いに昇華してしまえばいい。
消したい過去を笑い飛ばせたり、あるいはジョークでお茶を濁すのも、愛を前提とする秀逸なコメディのなせるわざ。

喜劇とするか悲劇とするか。それは他ならぬ自分自身の解釈とその表現によって選ばれること。
人生は演劇だ。

過去と現在、現実と理想の溝を埋めて、その人生を肯定する愛とユーモアを。ユーモアを育む知性を。学びの場所の、たとえば家族の愛のこと。


☆4.0

(2018/3/19)