散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

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熱に浮かされ、結ばれて。冷めれば別れて、行って来い。
愛は生活を取っ散らかすだけ。非実用的な行動だ。
なのに、どうして繰り返すものか。
愛はままならず、愛を免れない人生はプラン通りにいかないものである。

最期は皆に等しく、行って来いで終わる人の一生。損も得も何も残らない。
この物語の登場人物は主人公でさえ、なすすべなく運命とやらに身を任せる他にない。

序論と結論を繰り返すことに意味なんてあるのだろうか。つまり、生まれてからいつか死ぬまでの本論に意味なんて。
あるよ。
人生を美しくユーモラスに謳歌する人。または人生や愛に議論を尽くす人。あるいは、アレゴリーでもって語り直す人。それを読む人。
彼らの導く結論は、序論と同じようで少し違う、より豊かな文意を含み得る。
その少しの違いは代々子どもたちに受け継がれ、繰り返されて、ずいぶん遠くの真理にもいつか辿り着くのさきっと。

もっとファニーな結論ありきで書き出したはずが、思いがけず大層な話になった。だが、こんな駄文の、それがいい。ままならない筆致に、運命的な成り行きを実感する。
書き出してさえしまえばいい。想定外の帰結には、得難い何かが実るものだから。

愛も、始めて、そして終えばいい。


☆4.0

(2017/12/26)