散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

明日へのチケット

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イタリアからエルマンノ・オルミ、イランからアッバス・キアロスタミ、イギリスからケン・ローチの三巨匠によるオムニバスは、三篇が一つのストーリーを繋ぐ。

オーストリアインスブルック発ローマ行き。
国境を横断する列車は、世代、階級、職種、人種の様々な人々が乗り合わせ、終着駅に向かって進む。
テロや移民問題をはじめ、入り組んだ人間模様を内包しながら、一つの線路を直走る。

栄枯盛衰の無常。
“善意”に抗えない人間の真理。
終着駅では、チャンピオンズリーグの晴れ舞台に向かうセルティックFCのサポーター、迎え撃つASローマのサポーターが、“チャント”を轟かせる。

公開年からそう遠くない未来、イギリスでは国民投票の結果、EUからの離脱を決定。グローバリズムナショナリズムの軋轢が各所に顕在化しており、世界の分断が予見されている。


☆Review

(2016/08/21)