散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

柔らかい肌

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自動車事故により、25歳の若さでこの世を去ったフランソワーズ・ドルレアック
将来を約束された彼女の死は、フランス映画界の大きな損失で、遺された作品の少なさを数える度、生まれ得なかった名作の数々に思いを馳せてしまう。
愛についての映画を撮り続けたトリュフォーによって、その美貌がフィルムに焼き付けられたことは、せめてもの救いか。

現在も第一線で、大女優としてスクリーンに映る妹カトリーヌ・ドヌーヴには、彼女を通してフランソワーズの影を見るようで、拭いきれないもの悲しさがある。
齢70を超える妹と、老いることのない姉の姿が今も尚重なって感じられるのは、ずっと姉の死を受け入れられずにいたカトリーヌの、心の中で大切に大切に生かしてきた思い出、死後も二人三脚で歩んできた人生が伝わってくるのかもしれない。
情熱的で芯が強く、でも繊細で、人一倍強いコンプレックスに打ち勝つため、野心に溢れていた。音楽と踊ることを愛し、少し生き急いでしまった、姉。妹は回顧する。

6年毎に映画を撮ろうと約束していたらしい。トリュフォーとフランソワーズによる愛についての変遷ならば、きっと人生のバイブルに成り得ただろう。
永遠に記憶される、美しく儚げな横顔が切ない。


☆Review

(2016/08/16)