誰が言ったか「美女を映さずして映画に非ず」とは、裏返すと、女優を美しく撮れてさえいればそれは立派に映画であるということを、再認識する一本である。
ポランスキーがカトリーヌ・ドヌーヴに続きその姉フランソワーズ・ドルレアックを撮った今作は、前作『反撥』に同じく神経衰弱もの。でもこっちは、打って変わって喜劇調。
満潮時には陸から切り離される孤島の城を舞台に、小心者の主人とその若い妻、押し入ってくる悪漢がしばしの奇妙な共同生活。
明々白々な男と男のパワーゲームを拗らせる奔放な美女。
果たして、不条理な結末を被るのは一体。
ポランスキーのモノクロームは、画面を揺らめく水面が印象的だ。
☆Review
(2016/08/16)