自意識の肥大と暴走について描いた『クロニクル』に引き続き、ギークの承認欲求にスポットを当てるジョシュ・トランクの作家性は明快。
それがスーパーヒーロー映画に巧く持ち込まれているかと言うと、別の話。
天才青年とその仲間たちのサークル活動が世界の存亡と直結する。そんな幼稚な世界観こそ、前作のように閉塞的な主観視点(ファウンドフッテージに限らず)で描ければ、青春映画としての成功もあったのだろう。
杓子定規にヴィランを急ごしらえしたばっかりに、人物描写のあまりの描き込み不足で、対立軸がぼやけるどころか不明。スーパーヒーロー映画として破綻している。
予算カット、監督の孤立、編集権の剥奪など、製作トラブルの噂も頷けるほどの、歪さが目に余る不幸な作品。
☆2.7
(2016/03/27)