妻は夢を見る。
フロイトによれば、夢は無意識下に抑圧された願望であり、延いては根源的な、つまり性愛における欲求の不満に繋がるものとされる。
夢と現実の一体化を見るように、娼家へと足を踏み入れた妻は、マゾヒスティックな情欲を解放させていく。押し殺した過去のトラウマと共に。
それでも、「夫への愛は快楽を超越している」。それとこれとは違う。
けれど、それがわからない若い男の、無鉄砲な欲望が悲劇を引き起こす。
「男はみんな独占したがる。昼も夜も」
不貞の代償はあまりに大きかった。
妻は、また夢を見る。情愛の夢を。
☆4.5
(2016/03/16)